EMIRI MOROKA -HEART MATRIX-
師岡絵美里のブログです♪
2019年1月23日水曜日
シリーズ【5種のチッタ】vol.1クシプタチッタ〜荒ぶる心の見極め
こんにちは。エミリです。
心の状態を客観的に観察できるようになる、というのがヨーガ哲学の知識がもたらす素晴らしい効能のひとつです。
今日はそんな中からひとつ。
クシプタチッタ、というものをシェアします。
ヨーガでは、私たちの心を作り出すプラーナ(生命エネルギー)の「質」の違いから生じる、心の種類を説明します。
それは「5つのチッタ(心)」と説明され、
怒りや刺激の質からなるチッタ(心)
停滞の質からなるチッタ(心)
いろんな質に変化し安定しないチッタ(心)
一点の純粋さに集中したチッタ(心)
心が動いていない状態
と分けます。
今日はそのなかの「クシプタチッタ」について。
怒りや刺激の質からなるチッタ(心)をシェアします。
クシプタチッタは、プラーナ(生命エネルギー)が「ラジャス」という刺激の質に高まった、興奮状態のような心で、外界に向かって自我意識が高まり、怒りや批難などの荒ぶった気持ちに心が集中した状態です。
”クシプタ” [Ksipta]は、
despicable 卑劣な
discharged 排出された
thrown 投げられた、投じられた
reviled 批難する、罵る
というような意味合いが含まれた言葉です。
このチッタ(心)の主役はラジャス性で、ラジャスは自我意識を高めて荒ぶる感情との一体感を増幅させます。
イライラとか、焦りの混じった怒りや興奮、嫉妬や他者批判などもこういった心です。
あまり持ちたくないけれど、完全にないわけでもない心模様かなと思います。
最初は「不満」からくるケースが多いかと。
何かに不満を持って、そこに憤りを感じ始め、被害者意識や利益を得ていない、損なわれたような感覚がするときに、その不満の矛先が他者になったり何か外の対象に向けられて、怒りや批難になっていく。
そんな流れが多いと思います。
人間は「一回やったことはそのあとまたやるのが簡単になる」という習性を持ちます。
一回、二回、と心の荒ぶりに任せて怒ったり荒れたり粗暴にしていると、そういう行為や心のあり方を続けるのが「簡単」になります。
逆の言い方だと、優しくなったり、物事に理解を示そうと心を開くのが難しくなっていきます。
自分の思い通りにならないことに対して、怒りや攻撃的な気持ちでしか対応できなくなっていき、そしてそれが定着しちゃうとその人の「性格」になってしまいますね。
いつもじゃなくても、誰しもこういう気分はあると思います。
もしこんなクシプタチッタな感じになったら・・・
心が荒れたら・・・
まずは、身近な木々や植物をただ眺めてみるといいかなと思います。
意識を植物や自然の波動に合わせると、自我で高ぶった心の炎症が癒えていくと思います。
マインドの中の「主語」が繰り出す絶え間ない雑音
ー私が、あなたが、あの人が、あれが、これが・・・ー
を消す時間を持つことを、自分に許すといいかなと思います。
と、まあ簡単に言いますが、自我ってなかなか手こずるもの。
時間がかかりますが、地道に心の軌道修正ですね。
なぜ人は、自分の思い通りに行かないと、憤りを感じ、表現するしないは別としても「怒る」のでしょうか。それは「危険」を感じる不安と怖れが土台です。
保身に大きく傾いているとき、多くの場合において、物事を中立に、ありのまま見るのは難しくなります。
誰でも自分は大事ですが、「自分の利益」と「自分」を同一視してしまうと、損得と勝ち負けが心の関心事になりますね。
書籍「現代人のためのヨーガスートラ」では、この「クシプタチッタ」は、
「ヨーガには至極不適切」
と説明されます。
この状態でヨーガを始める人はいない、
するとしたら「敵を倒すための力を得るためだ」と書かれています(すごい!笑)。
「敵を倒す」というのを、もう少し、人々のよくある傾向に置き換えるなら、「すごいことできるって人に見せたい」というような対抗意識かなと思います。
それだと、心はいっこうに自由にはならへんよ、ってことですね。
でも、クシプタチッタに没頭している状態の時は「心の自由」なんて発想すら持たないかもしれないですね。
心の自由なんかよりも、権力や見栄えのいい自分、利益が欲しい、ということになるのだろうとおもいます。
インドの叙事詩「マハーバーラタ」ではこういう人がたくさん出てきて、みんな滅びていきます。(ドゥルヨーダナですね。)
ですが現代社会は、クシプタに煽られ、競争と所有と消費への刺激が世界を動かしている次元です。
ここをどう調和的に生きるかって、苦行ですね!(笑)
ともあれ、ヨーガをしているとだんだんこういうクシプタチッタな傾向は、個人の心としては少なくなると思います。それは恩恵ですね。
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集中講座ではヨーガ哲学を通じて人の心や人生について深く考える機会を作っています。今日の学びは
「ヨーガ哲学6ヶ月集中コース」
の序盤で取り上げる「ヨーガスートラにおける心」からの抜粋です。
より深く知りたい、学びたい方は、ぜひ講座をチェックしてみてください。
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